ラッセルのテキスト

http://russell.cool.ne.jp/beginner/KOFUKU.HTM

英訳と原文が1ページの左右に書かれているので非常に読みやすい。
勉強にいいんじゃないかな。

いっさいが空しいという感情は、自然の生理的要求があまりにも容易に満たされるところから生まれる感情である。人間という動物は、ほかの動物同様、ある程度の生存競争に適応する。それゆえ、大きな富のおかげで、人間が努力なしで、自分の気まぐれを全て満たすことができる場合は、生活に努力が不要になったというだけで幸福の本質的な要素が奪われてしまう。ごく普通の欲望のみを感じる(→特別な欲望を感じているわけでない)ものを簡単に入手できる人は、欲望を達成しても幸福はもたらされない、と結論する。もし、彼が哲学者気質の人であれば、人生は本質的にみじめである、なぜなら、欲しいものは何でも持っている人でも、なお不幸なのだから、と結論する。彼は、欲しいものをいくつか持っていないことこそ、幸福の不可欠の要素の一つである、ということを忘れているのである。<<